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ベルンへの招待

【備考】



奇妙な積荷が現れた!



戦闘省略

     ***

「私は知らんぞ! そんなもの! 大体さっきの爆発音は何だ!?」

 ようやくワンプを片付けた〇〇だったが、そんなことは全く目に入らないかのように白髪の男は兵士に怒鳴り散らしていた。
 男はワンプの死骸を大きく避けて馬車に近付き、積荷を見て愕然とする。

「なんて事だ、高価な壺が……ルブター様になんと申し開きすれば良いのか」

「申し訳ありません、しかし――」

「積荷の検査は終わったんだろうな? よもやこれ以上の時間を取るとは言わせんぞ」

 白髪の男は地べたに尻餅をついていた御者を促し、二人で馬車に乗り込んだ。
 兵士達は少しの間相談を続けていたが、やがて砦の脇にある門が開かれ、馬車はそこへと消えていく。
 ハリエットは呆然とそれを見送っていた。
「信じらんない……これだけの騒ぎになっても通れちゃうんだ……」

     ***

「ありがとう、助かったよ。我々だけでは危ないところだった」

 馬車が去った後、〇〇とハリエットの許に兵士の一人が駆けつけてきて礼を述べた。
 検問所の前はまだ血やワンプの体液にまみれていたが、 怪我人は既に中へと運び込まれている。
 幸いにして死者は出なかったようだ。

「それにしても……あの音は何だったんだろう」

 誰にともなく兵士は呟いた。ハリエットがぴくりと反応する。

「さ、さぁ?」

「あの音は多分、あれだろうな」

 別の兵士が近寄ってきて、兵士達はお互いに目配せする。

「だな。俺もそう思う。あれで間違いない」

「え、どれどれ」

 ハリエットは挙動不審に辺りを見回した。
 ふう、と兵士達は息をつく。

「またポルターガイストの仕業か!」

 言って、兵士達は天を仰いで嘆いた。
 ……良く判らないが、どうやら彼らは勝手に納得してくれたらしい。
 色々詮索されると面倒なことになりそうだし、ここらで検問所からは退散するとしよう。

     ***

「とりあえずさ……あの猫が言ってた“死の臭い”ってのは、 さっきの奴の事で間違いないよね」

 検問所を後にした道すがら、ハリエットは〇〇に同意を求めるように言った。
 〇〇とハリエットは既に先刻旅券騒動があった辺りにまで戻って来ていたが、 マノットの姿は既にない。

「旅券屋のおっちゃんは帰ったのかな。まあ居なくて良いけどさ」

 確かに居なくても良い。
 ……ただ、5000zelだけは返して欲しかった、と〇〇は思う。

 うーん、とハリエットは立ち止まって腕組みをする。
 少しの間、何事か考えていたようだが、ややあって顔を上げると 「あのさ」と〇〇に切り出した。

「さっき旅券買ってたよね? ということは、 つまりあんたは国境を通れる旅券が欲しいってわけだ」

 それは当然、そういうことになる。

「ねね……、ちょっと取引しない?」

 ハリエットが悪戯っぽく微笑んだ。

「私が旅券を手に入れる方法を教えてあげる。代わりに、 あんたは私のお手伝いを引き受ける。どう?」

(ふむ……)

“お手伝い”の内容が気になるところだが……それ以前に、 また安物の旅券をつかまされるのだけは、御免こうむりたい。

「言っとくけど、さっきの奴みたいなニセモノじゃないし、黒旅券でもないよ。 それ以上のことは、話が決まってからね」

 どうする? とハリエットは〇〇の顔を覗き込む。

 今のところ、そう悪い話ではない。最悪の場合、話だけ聞いてやめれば良いだろう。
 とにかくもう少し詳しい話を聞きたいところだ。〇〇がハリエットにそう伝えると、 彼女は快活に笑った。

「決まり! それじゃまず、前金として旅券が手に入る場所を教えてあげる」

 ハリエットはきょろきょろと周囲を窺ってから声を少し落として続ける。

「良い? 本物の旅券を売ってる場所はね……ずばり、ボーレンスよ!」

(ボーレンス――)

 その名前は前にもどこかで聞いたような気がする。
 ハリエットが言っていたのだっただろうか。

「ボーレンスってのはベルン北部にある閑静な町よ。ベルンはどこもそうだけど、 ここは特に変な副業に走ってる貴族が多いんだよね。 中には本物の旅券を売り捌いてる連中もいるってわけ」

 ハリエットが得意満面の笑みを浮かべる。

「どうよこれ? 良い情報でしょ?」

 なるほど。
 つまり、旅券を手に入れるにはベルン公国に入ってボーレンスという町に行く必要がある。
 だが、そのためには先に旅券が必要となるわけだ。

(……帰るか)

「ちょいー!」



 背を向けて歩き出した〇〇の裾を、ハリエットが凄い勢いで引き戻す。

「帰るな! まだ続きがあるんだって!」

 〇〇が立ち止まると、ふー、とハリエットは大げさに息をつく。

「良い? ここからが更に重要よ。実は、旅券なんか無くてもベルンに入る方法はある!」

(なんだって?)

 それが本当なら、確かにちょっと良い情報だ。
 というよりも、そうなると旅券を手に入れる必要は特になくなるわけだが。

「興味出てきたでしょ? そして、ここからがお手伝い、その一」

(……その一?)

「“スノーマンチップ”って知ってる? フレビス山脈とかの山奥でさ、 たまに雪だるまがノコノコ歩いてるでしょ?」

 確かに、西フレビス山脈の奥地に雪だるまが歩いているのは、割と良く知られている。
 だがスノーマンチップというのは聞いたことが無かった。

「あれの中に六角形の黒い石が入ってるんだよね。それがいわゆるスノーマンチップ。 まあ、知らないとただの石ころにしか見えないから捨てちゃうと思うけど。 それをさ……そうだな、4個ほど持ってきて。さすれば道は開ける!」

 要するに、フレビス山脈に行ってスノーマンを狩ってこいと、そういう話か。

「あ、何人かで集めても良いけど、とにかく合計で4個ぐらいね。 私はゼネラルロッツの教会で待ってるから、手に入ったら呼びに来てよ。 残りの情報は、その時教えてあげる」

 それじゃねー、と言い残して、ハリエットはさっさと街道を走っていった。
 教会は宿屋ではないのだが、いきなり押しかけて簡単に寝泊まりできるのだろうか。

 ともかく、スノーマンチップとやらを4つ。何に使うのか知らないが、 とりあえず集めてみるべきか……。

─End of Scene─



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